第4章 真相
八雲『貴方のお姉さんを脅していた男は、貴方のお姉さんに、結婚詐偽を強要していました…。そして、何人もの人を、貴方のお姉さんは騙す事になってしまった…。』
それを聞いた充はさらに悲しい顔をした後、頬を涙で濡(ぬ)らした。
充『そんな…あの優しい姉が…。結婚詐偽を…。私の為に…。』
そんな二人の話を聞いていた晴香も、自分でも気付かないうちに涙を流していた。
八雲『君まで、泣いてどうする…。』
そう言って八雲が晴香に自分のハンカチを差し出す。
晴香『だって…。』
そう言いながら、泣いている晴香の頭を、八雲が優しく撫でた。
八雲『貴方のお姉さんはこう言っています。貴方には幸せに生きて欲しいと。そして、そのネックレスを大切にして欲しいと。』
空『貴方は幸せになって。そして充…。私はいつでも貴方を見守っている。』
八雲『だから、頑張ってと。』
充『姉さん…。空姉さん…。うん…頑張るよ…。姉さんが安心出来るように、幸せにもなる…。』
そう言って充は泣いた。そして、その言葉を聞いた空がとても優しく笑って、そして、八雲に頭をさげ、消えていった…。
八雲『お姉さんは、もうここには居ません。貴方の最後の言葉を聞いて、安心したようです…。』
八雲のその言葉を聞いて、充が言った。
充『そう…ですか…。姉は最後、どんな顔を…?』
八雲『とても優しい笑顔で、貴方を見守っていると…。そう言っていました…。』
充『そう…なんですね…。八雲さん。晴香ちゃん。ありがとうございました。姉の思いを伝えてくれて。』
晴香『いえ、私は何もしていません。全部八雲君のおかげです。』
八雲『いや、君が彼女を見つけ、ネックレスを拾わなければ、僕はここに来る事は無かった。そして彼のお姉さんから、君への伝言を預かった。』
晴香『伝言?』
八雲『ああ、気付いてくれてありがとうと。そう言っていた。』