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深海の碧【ツイステ】

第7章 薄柳ー走る



「え、マネージャー?」
「うん、そっ!」
水曜日の放課後。何時ものメンバーでオンボロ寮でお茶会をしていた。
明後日、金曜日からは4連休。学園も休みで、何をして過ごすかという話で盛り上がっていた。デュースは実家に帰るそうで、ジャックはマジフトの練習に明け暮れるそう。
そしてエースはというと、部活の学内合宿を行うらしい。

「やっぱり一日練習するから何時もより雑務も多くてさ」
「…私、雑用係ってこと?」
「言ってみればそうだけど…いいじゃん、ユウやることないって言ってたし」
正にその通り。帰る実家もないし、今回の連休中は学園長からのお願いもなく、4日間どうしようかと考えていた。

「ジャミル先輩からも是非、ってさ」
「そういえばジャミル先輩も同じ部活なんだっけ?」
「ああ、そうだぜ」
ウインターホリデーの一件以来、カリム先輩やジャミル先輩から誘われ、スカラビア寮の宴に参加させてもらうことが多い。宴で振舞われる料理は独特なスパイスが効いていて、かなり私好みだ。
あれ以来、遠慮のなくなったジャミル先輩は、座学でも実践魔法でも本来の才能を発揮し、先生方も一目置いてるようだ。勉強のことで相談に乗ってもらうこともしばしば。アズール先輩のように対価を取ることも見返りを求めることもない。…但しかなり手厳しい。

「…お前ジャミル先輩のこと結構好きだよな?」
「先輩としてね。頭良いし、色々知ってて教えてくれるし。それにジャミル先輩の声、結構好きなんだよね」
「…それ、俺ら以外には言わない方がいいぞ」
洋梨に齧り付いていたジャックが声を潜めて言う。その発言の意図はよく分からなかった。

「頼むよ、お願い!!」
エースがいつも部活を頑張っているのは知ってるし、それを応援したい気持ちはある。それに4日間何もしないで過ごすより有意義かもしれない。それに、交換条件として出された学食一週間奢りというのは貧乏な私にはとても魅力的だ。

「うーん…そこまで言うならやってみるよ」
勝手が分からないから迷惑かけたらごめんね、と言えば、そんな事ないとエースは大きく振りかぶった。

「サンキュー、ユウ!これで先輩も…」
「ん?どうしたの?」
「いや、何もない!」
突然慌てるエースに首を傾げる。すると、私の膝で大人しくうたた寝グリムが、もう飯か!と目を覚まし、騒ぎ始めた。

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