第3章 目蓋を閉じて映る残像
ダム、ダム、ダム
パサッ
「ふぅ…。」
AM 5:48
まぶしい朝。
誰もいない公園。
久々に早朝練習をした。
いつもはロードワークだけだから。
なんで今日はボールを持ってきたかと言うと
それは、たぶん、あいつに触発されたんだ。
目蓋を閉じると、あいつの姿が浮かんでくる。
パスをした瞬間。
フェイクをした瞬間。
ドリブルをした瞬間。
ダンクした瞬間。
昔からそうだ。
あいつのプレイスタイルは、私を刺激する。
あいつを見てると、体が反応する。
体全体が、バスケをしたいと叫ぶ。
静かに目蓋を開ける。
「っきゃぁ!!」
「…おす。」
「おっ、おはよう…。」
開けると、目の前には流川のドアップ。
本当に心臓が飛び出るかと思った。
「おめー、なんでここにいんだ?」
「え?」
「暇なら、付き合え。」
「1on1?」
「おぉ。」
「しょーがねぇ。付き合ってやるよ。」
ダム、ダム、ダム
朝も早くから公園に響くのはドリブルの音だけ。
目蓋を閉じて映る残像
それはあなたのプレイスタイル。