第6章 過去→今
俺の家庭環境は複雑だった。
子役からずっと役者として働いて、家族を守ってきた。
俺はそれでよかったと思った。
でも違った。
子供らしい子供じゃなかったからだ。
遠足や運動会、学校行事に参加した記憶があまりない。そういう時に限って仕事が入るから、早退や休みが多い時も少なからずあった。
高校時代は単位がヤバくて留年か退学のどちらかになった事がしばしばあった。でも担任が生徒思いだったから、俺は頑張って巻き返した。
それが今の糧になってると思う。
よく子役の子と一緒に仕事をするけれど、昔と今と違って、学校行きながら台本片手にセリフ覚えたり、学校行事に参加したりして、羨ましい限りだ。
俺、結構心が乏しいんだなと思い始めた。
人は見かけによらない と言うけど、俺自身そうなのかもしれない。
いい人を作ってんじゃなく、自然と出てくるし、探究心が人一倍あるし、負けず嫌いで、完璧主義者。
いつも笑って いい演技して、たくさんの作品に出させてもらったりしてるけど、仕事終わると、虚しく感じる事や逃げ出したくなる事が増えてきた。
たくさん若手が出てきて、後輩もしっかり板についてきて、もう託してもいいかな、、、と思うようになってきた。
弱肉強食の世界だから何か強みの柱がないと崩れる。
考え過ぎた、、、
頭重いわ、、、
彼女と出会って考え方が少し変わったけど、根ずいた癖や考え方はどうしようもない。
酒の量、、、増えたな、、、ピッチが早くなった。
潰れるまで飲むようになった、、、。
相当参ってるんだな、、、
最後に泣いたのは、イギリスに留学した時くらいか、、、。演技では泣いたりするけど、、、
彼女に会いたい、、、会いたくて、、、辛い。