第14章 別れと始まり
「あとは直接2人で話せ。」
テンがそう言ったと同時にかかし先生が病室に入ってきた。
「かかし先生…」
先生はにっこり笑ってくれた。
「りか、俺はもう行くからな。
次お前のとこに来るときは、本当にお前が死ぬ時だ。
そん時は俺が直々に迎えにきてやるから。」
「テン、それ死神みたいなこといってるよ(笑)」
テンは光の玉を横にながくして、そこから上半身をぬっと出した。
「俺はその死神だ」
初めてテンの姿を見せられたことと、テンが死神だったという事実にきょとんとなった。
恐怖心なんて一つもわかなかった。
そのニカっと笑った顔は、まるでかわいい弟のようだ。
「行っちゃうのか…寂しいな…」
なんだか、胸がきゅっと締め付けられた。
「は~お前は相変わらずバカだな。
もーこっからお前のお守りはかかしにまかせるぜ」
「おもりって…」
涙ぐむ私を、テンは真剣な眼差しで見つめて言った。
「りか…ちゃんと生きろよ。
スーパーお人よしもいいけど、しばらくはかかしに甘えてろ。」
「…うん…テン、ほんとに今まで一緒にいてくれてありがとう」
テンといた1年は短いけど濃いかった。
無性に別れがつらくて、やっぱり涙は止められなかった。
テンは、おいおい‥と若干あきれながらも笑って涙を拭いてくれた。
「かかし。あとは頼むぜ」
「あぁ」
そういって、テンは光の玉になり壁に消えた。
テンが消えてからも止まらない私の涙を、今度はかかし先生がふいてくれて、そっと私の頭を撫でてくれた。
「あんな無茶は…もうしないでね。
今度はちゃんと俺が守るから…」
そういって、先生はにっこり笑って言ってくれた。
「これからよろしくね。本物の彼女さん」