第11章 テン
テンサイド
俺はフカフカと飛んで行った。
俺のことを見て、しょーもない顔で驚いてやがるこいつのもとへ。
「お前…は‥?」
「なんだ、初対面でびびったか?かかし。俺はテンだ」
それを聞いてかかしは、読んでいた書類をバサッと机に落とし、目を見開いた。
俺は火影室で一人徹夜作業しているこいつのもとへやってきた。
俺も相当なおひとよしみたいだ。
もちろんりかには話してねぇ。
俺が意外にも簡単に行き来できるとわかれば、何頼まれるかわかんねーからな。
俺はあくまでも傍観者だ。
それがりかでも同じだ。
かかしは、俺を警戒しながらも話し出した。
「テン…一体何しにここへ…」
「ずいぶんな言い方じゃねーか。
お前の様子を見に来てやったんだ。
あいつが気にしてるからな」
「りか…か?あの子は大丈夫なのか?
神威を使って…体は?」
ふーん、やっぱ気にはしてたか。
マスクで両目しか見えない割には、かかしの顔から心配の感情が漏れ出ていた。
「完全回復に1か月かかった。今は何ともない。
ま、なんともなくてもあと2か月だがな。」
かかしの表情が一変し、その言葉に強く反応した。
「お前はどうして彼女の命を奪おうとする!?
りかは、お前を優しいといった。
でも、そのやっていることは優しさなのか?」
姿のないただの光の俺を、あいつは怒りの目で見ていた。
やれやれ。
「かかし‥お前だけに見せてやるよ。俺の姿…」
そういって光の玉を解いて姿をあらわにした。