第6章 新名の葛藤
合宿が終わり、いよいよ今日は花火大会!と、浴衣姿もバッチリで意気込んでいた翠のもとに、新名から一本の電話がかかった。
『ごめーん、翠さん。俺、風邪ひいちゃったみたい…プールで夜遊びしたからかなぁ…ゴホッ…つーわけで、花火大会は、欠席するわ…あー、めっちゃ悲しい…』
「え?新名くん?大丈夫なの?」
『あー、うんうん、ちゃんと寝ときゃ治るって。ゴホッ…んなわけで、楽しんできて!マジごめんね!』
「ええ〜…大丈夫なのかなぁ」
電話口の新名の辛そうな声に、翠は不安な気持ちを隠せない。
嵐と二人で楽しんできて!と言われ、「うん」とは答えたものの、やっぱり新名の様子が気になる。
「よし、待ち合わせまでまだ時間あるし、お見舞いに寄ってからはばたき駅に向かおう」
こうして翠はいそいそと外出した。