第3章 明智光秀
安土城亜衣の部屋
亜衣(光秀さん早く帰ってこないかなぁ…。もう2ヶ月ぐらい会ってない。寂しいなぁ。)
そう、亜衣の恋人明智光秀はふらりといなくなったまま2ヶ月ほど安土にいない。亜衣は気を紛らわせようと裁縫箱に手を伸ばした。今は光秀の羽織りを作っている。ちょっと休憩しようと思ったときこんこんと部屋の襖をたたく音がした。
亜衣「空いてるよー。」
秀吉「お、縫い物をしてたのか。よしよし。」
頭ポンポン
亜衣「うん、光秀さんが帰ってきたら渡そうと思って…。」
秀吉「あ、光秀なんだけど今日の夜帰ってくるって文があった。」
亜衣「本当?秀吉さん!」
秀吉「ああ、良かったな。」
亜衣「うん、嬉しい!じゃあ帰ってくるまでに羽織り仕上げちゃうね。」
秀吉「ああ、頑張れ。じゃあ、俺は政務に戻るな。」
……
亜衣「光秀さん早く帰って来ないかなぁ。」
光秀「亜衣!今帰った。」
亜衣「光秀さん、おかえりなさい。」
亜衣は羽織りをもって光秀の元へ駆け寄って行った。
光秀「そんなに走ってきて、まるで犬だな。」
亜衣「私は犬じゃ無いです。もう。」
光秀「悪い悪い。おや…手に持っているのは、羽織か?」
亜衣「光秀さんがいなくて寂しかったからそれを作ってたんです。帰ってきたら渡そうと思ったんだ…。」
光秀「そうか、ありがとな。」
亜衣「光秀さんはこれから信長様のところですか?」
光秀「いや、報告は文にて済ませてある。あと、明日1日暇をもらった。このままだと冷えるな、俺の御殿に行くか。」
亜衣「はい。」
……御殿
光秀「大分冷えたな、一緒に湯殿に行くか。」
亜衣「一緒に…ですか?」
光秀「嫌か?」
亜衣「嫌じゃないですけど…恥ずかしいです。」
光秀「何故恥ずかしがる。俺はお前のもっと深いところまで知ってるんだぞ。」
亜衣「でも…」
光秀「俺がお前といたいんだよ。」
亜衣「わ、分かりました。」
……湯殿
亜衣「私先に入っているので、光秀さん後から来てください。」
光秀「…分かった。走って転ぶなよ。」
亜衣「はーい。」
パタパタ
光秀「走るなと言ってるのに…まったく。さて、俺も行くか。」
背を向けている亜衣の耳にチャポンという音が届く。光秀が入ってきた音だろう。
光秀「どうしてそんなに離れてるんだ。側へこい。」
亜衣「恥ずかしいのでこれ以上は無理です。」
光秀「そうか、なら俺がいく。」