第9章 時を越えて〜顕如討伐〜
明朝、岐阜城。
後発の軍も無事に到着し、出立の時を待っていた。
前軍は政宗、中軍に信長と信興、後軍を三成が率いる。
「みんな、無事に戻ってくださいね。」
そう声を掛ける舞に
「案ずるな。貴様らも道中気を付けろ。」
信長は言うと
「いざ、出陣!!」
「「「「「「「オオッーー!!!」」」」」」」
敵陣へ向けて立って行った。
見送った舞と佐助、義元も春日山へ向けて旅立つ。
ーーその頃、越前一乗谷城本丸
「おのれ、景鏡!謀ったか!!」
「我らは貴殿と運命を共にする気はありません。景義様、御覚悟を!」
「ぐぬっーーガハッーー」
顕如と信長討伐を試みた男の最期だった。
「終わったようだな?」
様子を伺っていた光秀が家康に言う。
「ですね。」
かつての栄華が嘘のように、呆気なく散った男を無表情で二人は見ていた。
ーー一数刻後。
「伝令ーー!!」
本隊に光秀からの早馬が届く。
文を見た信長が
「朝倉が落ちた」
駆け寄って来た政宗と三成に一言告げると、二人は大きく肯く。
「後はしぶとい鼠退治だな。」
「ああ、存分にやれ。」
「御意」
信長らは一乗谷へと急いだ。
ーーー同じ頃、一乗谷付近某所。
「ーーーっ!」
朝倉景義死亡の報告を受けた顕如は言葉もなかった。
「織田軍の画策により景鏡氏が景義氏を裏切り、朝倉は織田に付いた模様。」
斥候の言葉にギリギリと奥歯を噛む。
「一揆はどうなっている?」
「集まった同胞は約五千。大野付近で待機しております。」
「織田の動きは?」
「信長、信興、伊達政宗、石田三成が約三千の兵を率いてこちらへ向かっております。そこへ朝倉も加わるものと。」
「はっ、たった三千か。朝倉を加えても五千。ずいぶん舐められたものだな。我が軍五千と門徒五千…一万の圧倒的戦力で織田を迎え討ち、上杉・武田が到着する前に早々に形をつける。我が同胞のため、必ず信長の首を取ってくれるわ。」
「御意」
こうして、顕如軍は若狭へ向けて動き出した。
一方、一乗谷に到着した織田軍は、光秀、家康、朝倉軍と合流。
「一向宗門徒たちは大野付近に集結しています。」
との光秀の報告に
「ならば、大野へ向かう顕如を仕留めるぞ。」
「「「「はっ」」」」
織田軍は顕如を追って動き出した。