第3章 バイオ研究所
「ヴァーチャ…」
「全くの異世界だな」
「ねえみんな」
チョロ松が不安そうな顔をして言った。
「僕たち、ちゃんと帰れるかな…」
ガックリと肩を落とす弟たちにおそ松が活を入れた。
「だーかーら!こういう時こそ力を合わせなきゃだろ!信じればなんとかなるって!大丈夫!」
「不安がってても仕方ないからな!よぅし、ブラザーたち!松野家6つ子の底力、見せてやろうぜ!」
「「おー!」」
「ってこれ、前にもやったような気がするんだけど」
「言うな、トド松…」
やがて戦車は研究所にたどり着いた。戦車から降りると連絡をもらっていたのか所長のような男が待っていた。
「やっと帰ってきたデスか」
「「デカパン?!」」
所長は顔がデカパンそっくりだった。だが明らかに違うのは、この所長がちゃんと服を着ていたところだ。
「その子たちは生存者デスね?」
所長は○○を何度も上から下へとなめるように見る。
「娘さん、どうしたんデス?」
「足首をゾンビに噛まれて、切ったんです」
「レレ?!それでゾンビになってないとは!ちょっと見せて欲しいデス!」
「待て待て。見るのはこいつにしろ」
隊長が片足になった兵士を引きずってきた。まだ気を失ったままだ。
「全く。これでよく軍隊に入れたな。だがもうこいつは除隊だ。好きにしていい」
「ほっほっほ!じゃあ遠慮なく!」
所長は彼を軽々と持ち上げると、
「ああ、君たち。食堂で待ってて欲しいデス。色々説明したいデスからして」
そう言って研究室へと入っていった。
「食堂へ案内しろ」
「イエッサー!」
命令を受けた兵士が遙人たちを食堂に案内した。
「腹減ってるか?」
「もうぺっこぺこ!」
「えー?!ご飯くれるんすか?くれるんすか?!やったー!」
「ちょ!待て待て、お前ら!まだもらえると決まったわけじゃ」
「好きなだけ食っていいぞ」
「「ごちになります!」」
遙人と○○、6つ子全員はまともなご飯にありつけた。
「あー、うまかったー!」
「ハッスルハッスルー!マッスルマッスルー!ありが特大ホームラン!」
そこへ所長が入ってきた。
「いやー、実に興味深かったデス!足や手なら噛まれても切ればいいと実証されたデス!」
「預けた奴はどうした?」
「また気を失ったデス」
「情けない…」