第1章 私
私は散歩をしている。
隣には誰もいない。一人の散歩。
君は私の誕生日が終わると同時に居なくなってしまったね…。
酷いや。
夜の公園は、誰もいない静かな空間。
私はあの、ブランコに座る。
君が私を見つめてた、斜め前の木を見つめた。
木の傍で私を見つめて。
ひとりぼっちの私を見つめて。
こっちに来てくれた。
「また、会えないかなぁ…。」
ついつい口から漏れた心を慌てて塞いで、私は立ち上がる。
こんなんじゃあ、君も心配しちゃうよね?
立ち上がった瞬間、ブランコが衝撃で揺れた。
キィ… キィ…
キィ… キィ…
私は、その音が公園を駆け抜けるのを聴いて、涙をこぼした。