第26章 束縛(沖田裏夢)
遼の頬を撫でながら、沖田は自身をゆっくりと抜き取る。
その感覚すら、遼が快感を覚えるには十分で、思わず熱い息を漏らした。
「っ、あ……やぁ」
「ふっ、漏らしたみてぇに零しやがって」
「だっ、て…、総悟さんが意地悪するから。もう、外してくださいよ」
「もっと可愛くおねだりしてみな」
縛られたままの手首をもぞもぞと動かす遼に口づけた沖田は、スキンを外して器用にゴミ箱に投げ捨てる。
そんな姿すら様になっていると見とれてしまいながら、遼は必死で頭を働かせた。
(おねだりって、どうすれば……?)
「眉間に皺、寄ってるぜい」
「だって、可愛くって言われてもわからないですもん。だから――教えてください。どうしたらいいのか」
羞恥からか潤んだ瞳で見上げる遼に、沖田は思わず喉を鳴らす。
遼から視線が外せなくなり、全身が刺激を欲して熱を持っていった。
このまま見つめていたら気が狂ってしまうのではないかと感じながら、息を詰めて見つめていると、遼が僅かに首を傾げる。
「総悟さん?」
「――仕方ねぇから外してやる」
「ありがとうございます。あの……大丈夫ですか?」
「全部、遼が悪ぃ」
沖田の言葉に、遼は少し驚いた後くすりと笑った。
「何でい?」
「いえ。私たち、似た者同士だなって思っただけです」
遼は自由になった手を伸ばして沖田を抱き寄せると、胸いっぱいに息を吸い込む。
僅かに鼻腔を擽る汗の匂いに、腹の奥がぞくりと震えた。
「愛してます。総悟さんの、全部を」
「……あっそ」
「だから私、もっと総悟さんと一緒に居たいんです」
抱き寄せた沖田の背中を撫でながら、遼は想いの丈を告げられたことに満足する。
愛しくて、恋しくて、切なくて、嬉しい。
ただ一つ、願いがあるとすれば――
(総悟さんと、もっと繋がりが欲しい)
過分な願いだとはわかっているが、一度自覚してしまったその願いはどうあっても消すことが出来そうになかった。
もうこれは、恋でも愛でもない。ただの欲だ。
十分に理解した上で、願う。
「遼、いつまで抱きついてるつもりでい」
「叶うなら、この身が亡びるまで」
「馬鹿なこと言ってねぇで離しやがれ」