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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第20章  番外編 其の壱【R18含む】



咲はすでに全裸だったが、杏寿郎はまだ腰元に着物が残っている状態だった。

先ほど上半身は諸肌に脱いでいたので、咲は杏寿郎の腰でしっかりと結ばれた帯を丁寧に解くと、残っていた着物を全て取り去った。

これは数日前、咲が干した着物だ。

燃え上がるような柄が美しい、煉獄家の男にしか似合わぬような綺麗な着物。

杏寿郎の持っている着物の中でも、特に咲のお気に入りの一枚だった。

こんな情事の最中できっちりとたたんでいる余裕はないけれど、どうしてもくしゃくしゃに丸めて放るなど乱暴な扱いはしたくなかった。

だから咲は、胸に抱くようにして簡単に畳んでそっとそれを布団の横に置く。

そんな咲の仕草をじいっと見つめていた杏寿郎が、上半身だけを少し起こしてガバッと咲の腰元に抱きついてきた。

「君のそういうところも、俺は大好きなのだ」

ぐっ、とかき抱くように腰に腕を回され、腹に頭を押し付けられる。

「大好きだ、咲。好きだ。心から愛している。あぁ、とても言葉では表現しきれない。一体どうすればこの気持ちが君に伝わるだろう」

自身の腹部でそんなくぐもった声を上げている杏寿郎の姿に、咲の心にも、えも言われぬ言葉にできない愛おしさが沸き起こってくる。

あまりにも胸がいっぱいで、どうしたら良いのか分からない。

幸せなのに、涙が出そうになる。

泣きたくなるような、優しい感情。

きっとこの感情におそわれて困り果てているのは自分だけではないのだろうと思うと、咲はもうどうしようもなくなって、腹に押し付けられている黄金色の頭を抱えるようにして抱きしめた。

「伝わっております…、充分すぎるほど伝わっておりますよ杏寿郎さん」

心の奥底から搾り出すようにして言われた咲の言葉に、押し付けていた顔を少し上げて杏寿郎は眉を下げて微笑むと、今度は咲のふっくらとした滑らかな乳房に顔をうずめた。

「うん…」

まるでしがみつくように背中に回された腕の温かさを感じながら、咲もまたしっかりと杏寿郎の体を抱きしめ返したのだった。

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