第13章 小刀と拳銃
バン、と咲の撃った弾が、的の描かれた板の端をかすった。
引き金を引く指の筋肉が、疲労のため痙攣したように震え始めている。
もう一発、残りの集中力の全てを注ぎ込む気持ちで撃った。
バスッ、とそれは確かな手応えと共に、木板を撃ち抜いた。
「あ、当たった…」
思わずへにゃりとその場に尻餅をついた咲の横に、いつの間にか玄弥と悲鳴嶼が立っていた。
「やったな!」
しゃがみ込んで、ニカッと笑いかけてきた玄弥の言葉に、あの日の杏寿郎の「よくやった!!」の声が重なる。
「南無……少しずつだが、技術は必ず上達する。咲、よく頑張ったな」
悲鳴嶼の大きな手がわしわしと咲の頭を撫で回してくる。
咲は思わず鼻がツンと痛くなってきて、悲鳴嶼に撫でられるがまま、俯いた頭を揺らし続けていたのだった。