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どんな世界でも女神は笑う。【D.Gray-man】※停滞中

第3章 作り笑い


図書館に着くと、いつもの小説コーナーに足を運ぶ。
どれにしようかなぁって、本を出してペラペラめくり、本棚に戻す。
数冊面白そうなのを手にして、それでもまだ探す。


「よっ!アユム、なんかオレ悪いことしたか?さっき急に居なくなったから、心配したんさ。これ、怖がらせちゃったお詫び。マカロン好きだって聞いたから。」


今一番聞きたくない声。
でも一応は振り向く。
だって無視したら可愛そうだから。

振り向くと、ラビの手にはマカロンが持たれていた。
大方リナリーの入れ知恵だろう。
マカロンを見せられると思わず目を輝かせてしまうのは昔からの癖。
でもマカロンで釣れるほどもう子供じゃない!と自分を叱咤し、すぐに表情を戻す。


「別に。」


なるべく会話がしたくなくて、短く答える。


「いや、『別に。』っていう態度じゃねぇだろ。オレ悪いとこあるなら治すからさ。言ってくんなきゃわかんないだろ?」


言うつもりなんてない。作り笑いをしてるからって、それが必ずしも悪いとは限らない。
自分の何かを取り繕わないといけない理由がある人だっている。
そんなのはぼくが一番よく分かってる。
……だって昔のぼくがそうだったから…

作り笑いが悪いとは思わないけど、ここまでしつこく言われるとなんかムカつく。
言わないつもりだったけど、言ってやろう。
そう思った。


「じゃあ、言いますけど、ぼくはあなたが怖いです。あなたがというより、あなたのその顔が怖いです。だから、あなたが嫌いです。そんな作り笑い貼っ付けて、気色悪い。」


息継ぎを一切せず、捲し立てた。
本を借りようと思ってたけど、すぐにこの場から離れたくて借りずに図書館を出る。


「ここまで言えばもう向こうからは話しかけてこないだろ。」


図書館の扉を後ろ手に閉めて呟く。
こうなったら今日はもうふて寝だ。と決めて自室に戻った。
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