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満月の夜に【暗部カカシ夢】

第1章 常夜の心



«今夜は満月、しかも月の地球への最接近が重なることにより、地球から見た月の円盤が最大に見えるスーパームーンです。雲も少なく今夜は美しい満月を見ることが出来そうですね!»

ニュースをつけていると今夜の月は特別らしい。テレビから視線を窓に移すと、いつもの夜とは違う明るい夜空でネオンの煌々とした明かりとは違う光に包まれている。

私、萩尾美月の仕事は料理研究家。独立してから足がけ6年でようやく仕事も就いてきて、最近はドラマ撮影などの消え物を担当させてもらえるようになってきた。作ることも食べることも大好きで、忙しい毎日だけれど、充実している。

「月もキレイだし、なんだか和食の気分だなぁ〜」

小鍋をコンロに置き、作り置きの昆布と鰹節の水出汁を計って鍋に注ぎ入れた。本当は一から丁寧に出汁をとりたいが、どうしても一人暮らしには多すぎる量が出来てしまうので、自分用は水出汁で作っている。

お味噌汁の具は、何にしよう。

冷蔵庫を覗くと、買ったばかりのツヤツヤの茄子があったので手に取ると不意にお風呂場の方からガッターン!と凄まじい物音が聞こえた。

「えっ…!何…!?」

お風呂場にそんな物音するものがあっただろうか。詰め替えたばかりのシャンプーの容器でも落ちた?キッチンから出てお風呂場のある廊下を覗き見た。

「誰か…いるの…?」

恐る恐る声に出すも、気配もなにも美月には感じられなかった。

そもそも一人暮らしなので、誰かが居たらそれはそれで問題なのだが。出来るだけ音を立てないようにしてお風呂場に続くドアをあける。当然照明はついていないが脱衣所についた小さな小窓からスーパームーンの月明かりでほの明るくなっていた。

脱衣所に誰もいないことを確認し中に入ってドア閉めた。

―――刹那。

「動くな。1ミリでも動いてみろ。その瞬間お前を殺す。」

若い声が背後から聞こえた。そして美月の喉笛に突きつけられた黒くて冷たい何か。そして凍てついた水の中に沈められたような恐ろしく凍えた悪寒が美月に突き刺さり、精神を抉った。

「…ぁ、…ぁぁ…ッッ」

声にならない悲鳴が部屋中に響いていた。
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