第25章 全てを 超えて
フィリップの居場所をはぐらかした後、双子もアズールと同様に この場を去るのだった。
しかしすぐにフロイドが、閉まったばかりの扉から 顔だけを覗かせた。
「あ そうそうオレさぁ、聞いときたい事あったんだわー」
『どうしたの?フロイド』
「お姫様、いま 幸せ?」
『!
——うん。とても、幸せよ』
「…そっか。なら、まぁ良かったかなぁ。
それから これは…オレからのプレゼント」
フロイドがマジカルペンをふわりと振ると、ローズの身体がみるみる光に包まれた。その眩さに彼女が目を眩ませる。
少しして、一体何が起こったのかと目を開くと…
ローズは、淡いグリーンブルーのドレスを身に纏っていた。
『わ…!素敵、ありがとうフロイド。このドレスを着て、私頑張るわね』
「あははっ、全然いいって〜。じゃ、またあとでねぇ」
満足そうに目を細め、今度こそ部屋を後にした。
嬉しそうだったフロイドに対し、マレウスは ローズが身を包んだドレスを見て不服そうであった。
『マレウス?どうしたの?』
「いや…。まさか先を越されるとは、思っていなかったのでな」
『え?このドレスのこと?』
「あぁ。本来なら、パートナーである僕が贈るべきだろう」
マレウスは、そのあまりに “ フロイド色 ” の衣装を見て辟易した。しかし、やがて諦めるように溜息を吐く。
「しかし これくらいの事は、譲ってやらなければいけないのかもしれないな。
僕は、彼らから大切なものを奪ってしまったのだから」
マレウスはローズを愛おしそうに見つめて誓う。
彼ら全員の思いに報いる為にも、彼女と幸せに生きていかねばならないと。