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銀のヴィオラ 『ハリーポッター』

第34章 恋情記 前編



「だから!お前がまだここにいたいって思うなら!別にっ………ココニイサセテモイイ」

『え?何?ごめん小声すぎて聞こえなかった』

「〜っ!もういい!」

『ええ?』

「さっさと帰れ!」

『…………』


あぁ、どうして自分はこんな事しか言えないのだろう

心から自分の天邪鬼さを呪った


ベッドでうずくまって一人後悔の念に駆られる







その時、ヴィオラは気づく

『!』

察しのいい彼女は、シリウスが何を伝えたかったのか何となく理解したのだ


『(これ、ツンデレじゃないのかな?)』








シリウスは未だ、ベッドで悶々としている

すると、ヴィオラが近付いてくる気配を感じた


「…………何してんだ?」

『おねしょしないように見張っとかなきゃ』

「だからしないって言ってんだろ」

『はは、まあまあ気にしないで
ほら、もう寝なよ』

「………」


シリウスは少しの間ヴィオラを訝しげに見つめ、目を閉じる

彼女の冷たい手が、ベッドをトントンと叩いている
その手付きは子供をあやすもので、ゆったりと耳に届く音が、眠りに誘うようだった







「……………ありがとう」


目を閉じながら、そう言った

本当に小さな声で


それが、届いたかは分からない
さっきのように聞こえていないかもしれない



でも、ほっとしたから
そう伝えたかったのだ








『おやすみシリウス』


眠りにつく直前、そう聞こえた気がした
優しい声が、自分にそう言っていたのだ









一人ぼっちの寂しさは、もうとっくになくなっていた













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