第32章 アズカバンの囚人
お隣では、ハリーとロンが顔を青く染めていた
赤い林檎ではなく、青い林檎のように青くなってハーマイオニーに畏怖している
((これからはハーマイオニーに逆らわないようにしよう))
2人の心の声が聞こえた気がした
その時
「う……グルル…グゥ……」
声がした
何かに苦しむような声
「ルーピン先生?」
ハーマイオニーが呼ぶ
「グル…グルル……がっ、うぅ」
しかし返事はない
「リーマス……
どういう事だ、今日の薬は飲んだのか?」
「………グルル…ぅぅ」
シリウスが呼びかけるもルーピン先生は答えない
「そんな……まずい」
だんだん、ルーピン先生の体が変化していく
体は大きく盛り上がり、シリウスの身長を超えていく
さらには全身毛が生えていき、爪が鋭くなっていってる
「!」
まずい
この先を思い出した
(なんで忘れてたのよ、人狼の場面があったのにっ)
自分を殴りたくなる
そうだ、この後ルーピン先生は狼になる
そして襲いかかってくるのだ
そのせいで、シリウスはディメンターに狙われ、ペティグリューは逃げ、結果的に彼の無実を証明することが出来なくなる
ルーピン先生が狼へと変わっていく
「グゥ!ガウッ!」
瞳は完全に野生動物のものになり、ハリー達を見る
「これは……狼だと?」
スネイプが起き上がった
目が覚めたようだ
彼は足をくじいたようで上手く歩けないよう
だが、先頭に立ってハリー達を下がらせようとする
「全員下がれ」
手を広げて、無理矢理退かせる
無闇に動くと襲われかねないので、ゆっくりと動くしかない
「私に任せて逃げるんだ!!」
シリウスが叫ぶ
黒犬になって、ルーピン先生と交戦する
それにより、大人しく外に出る
足を怪我したロンとスネイプをハリーと2人がかりで支え、叫びの屋敷を出る
後ろではシリウスとルーピン先生が戦っているのを感じた
「グルル、ガウッ!」
爪や牙で戦って、シリウスが痛みに声を上げるのが聞こえる
助けたいが、人狼となったルーピン先生に近付くのは危険すぎる