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【降谷零】なにも、知らない【安室透】

第6章 探偵さん達


安室さんのもうひとつの家にお世話になりはじめて二週間が経った。
仕事も見つかり、手早く日給の在宅アルバイトでなんとかお金を稼いでいる。
色々と掛かったはずのお金を返すと言っても安室さんは絶対受け取ってくれなくて、何故かさらに私の私物が増えていった。

「安室さん」
「ん?」
「こんなに要らないです」
「いいだろ。俺がりおに買いたいんだから」

ずらりと床に広げられた洋服はスカートからジャケットからジーパンやパーカーまで、一週間着回しても余る量だ。
それに、この二週間、私は数えるほどしか外に出てない。
しかもその用事だってハロちゃんのお散歩がメインで、ジャージしか着ていないと言うのに。

「また、そういう事を…。そういうのは彼女さんにしてください!」
「そんなものは居ないし、作るつもりもないと言ったが」
「その顔ならすぐ出来るでしょ?もったいないって言ってるんです」
「だったらりおが彼女になればいいだろう」

何回か繰り返されたやり取りにため息を溢せば、君は俺のストレス発散に付き合うと約束しただろう?と目で訴えてくるからたちが悪い。
どうやら大変な仕事をしているらしいという事は理解出来て、それが何なのかは分からないがおそらくブラックなもの。
早く帰れる日の夕飯は私が作る事に決まったものの、結局あの日ハンバーグを食べそびれてから二度しか早く帰って来ていない。
それなのに、何故、安室さんは私の洋服やら本やら挙げ句の果てにはメイク用品まで買い込んでくるのだろうか。
使う予定もなければ使い道もないものは要らないと何度伝えても、仕事のストレスで買い物をしてしまうと言われてしまえば返答に困るという事を繰り返して数回。
だったら安室さんのものを買えばいいじゃないかと言ったところで欲しいものがないと言う。
それに仕事であちこちデパートを連れ回される事があるらしく、気付けば買っていたと言いくるめられて、私は考えるのを辞めた。
文句は言うけどね。

「イケメンは鑑賞用です」
「大人しく鑑賞されてやるから、代わりにりおを着せ替え人形にして遊んでもいいって約束したよな?」

させられた、の間違いです。趣味悪いです。私なんかで遊んで楽しいんですか?
それともよっぽどストレスが貯まっているんですかね?
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