• テキストサイズ

【降谷零】なにも、知らない【安室透】

第1章 プロローグ


ギイと音を立てながら少し重い鉄製の非常扉を開けると、すぐに隙間から朝陽が差し込んで来て顔をしかめる。
三徹目のシパシパする目には眩しすぎる。
するりと隙間から身体を滑らせて外に出れば、やっと会社を抜け出せた事に安堵して小さく伸びをするとキラキラと光の筋が祝福を与えてくれているようだった。


午前5時、通常の出入口はセキュリティのため開放出来ない事を知ったのはいつ頃だっただろうか。
非常扉のセキュリティ解除の仕方を覚えたのはいつ頃だっただろうか。
動き出した始発電車の音を遠くに聞きながら、ひんやりと冷たい鉄製の扉に手のひらをつける。
オートロックになっている為、もう開くことはないその非常扉に小さくさよならを告げて駅までの道を歩き出した。
/ 110ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp