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ただ君に幸あれ【WT】

第7章 *ホワイトクリスマス


 慌ただしく過ぎ去っていった騒動から数日。街はいつの間にかクリスマス一色に染まっていた。誰もが浮かれるこの時期、円は朝目が覚めると日付を確認して飛び起きる。

「今日クリスマスイブ……!?」

 期末テストに加えて防衛任務をここ数日ずっと入れていたため、日付感覚はどこかに飛んで行ってしまっていた。授業があるかどうか、防衛任務があるかどうかだけを意識して生活していたため改めて日付を見ると驚きが増す。円は急いで着替えると玉狛支部へと向かった。

「おはよー!迅さん起きてるー?」
「円先輩!?おはようございます」
「おっ!三雲くんたちも朝から偉いねー。感心、感心」

 玉狛支部に着くと三雲、空閑、雨取が訓練前の朝食を摂っているところで三人ともいきなりの円の訪問に驚いていた。朝食を作っていた木崎は円のいきなりの訪問に慣れているのか「迅はまだ寝ている」とだけ伝える。

「レイジさん、私の分もある?」
「ああ。迅を起こしてこい」
「はーい」

 キッチンへひょこっと顔を出して朝食の内容を確認して迅の部屋へと向かう。中に入ればぐっすり眠っている迅の姿があった。少しだけ起こすのが可哀想だが今日はどうしても彼と出かけたいので心を鬼にする。

「悠一、起きて」

 彼の上に乗って声をかける。いきなり自分の上に重さを感じて迅は薄っすらと目を開く。目の前にいる自分の恋人の姿に一瞬、これは夢だろうかと思いながらも睡魔に抗えずまた瞼を閉じようとした。

「おーきーてー!!」
「んー……。円、何、してるの」

 カーテンを思いっきり開けて太陽の日差しが直接降り注ぐ。眩しさに目を細めながら迅はまだ眠そうに眉間に皺を寄せながら円に尋ねる。

「悠一、デートしよ」
「……ごめん、もう一回言って」
「デート、しよ」

 滅多に言われない言葉に脳が一気に覚醒した。聞き間違えたのだろうかと思いながら聞きなおしてみると少しだけ恥ずかしそうに頬を赤らめた円。夢じゃないと自覚するとその彼女の愛らしさに顔がにやけてしょうがない。

「そのためにわざわざ朝早くからおれに会いにきたの?」
「……うん」
「わかった。デートしよう」


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