第4章 指南
「腹の底をさらせと何度言っても、のらりくらりとかわされる。本音を見せない人間を俺は信じられない。茜も油断するなよ。あいつには、秘密が多すぎる」
「秘密か……。私も、光秀さんが何を考えてるかわからないって思うことありますね。ここ数日一緒にいるけど、光秀さんがどんな人なのか、いまいち掴めなくて」
「俺も同じだ。あいつがどんな人間で、どんな本音を隠してやがるか、一度、頭の中を覗いてみたいもんだ」
歪んだ秀吉さんの表情は、どこかやり切れなさを感じて、それが光秀さんへの思いからだと言うことが伝わった。
(長年一緒にいる秀吉さんでも、光秀さんのことは掴めないんだ…。)