第15章 仕返しのキス
「……物騒なことだな」
「茜。お前も一緒に帰るぞ」
「っ、でも……」
「行け、茜。二度とここへは来るな。–––いい子だから」
後ろ髪を惹かれる思いで振り返り、光秀さんの顔を見つめる私に、光秀さんの瞳が語りかけるように私を見返す。
何も言わなくとも、心が重なっているように思えて、私は小さく頷いた
「っ……はい」
秀吉さんは光秀さんに背を向け、怒りを鎮めるように肩で息をしながら、私を待っている。
「光秀さん、最後に、ひとつだけ……」
「……何だ」
私の小さな声を聞き取ろうと、光秀さんが柵に顔を寄せた。
傷だらけのその頬に、私は触れるだけ口づけをした。