第15章 仕返しのキス
泣き濡れた頬を拭う、手ぬぐいの感覚を覚えている。
夜の野原を駆けながら私を包み込んだ温もりも、忘れられない。
偽りの優しさだとしても、私はそれに救われた。
本当はきっと……もっと前から恋してた。
意地悪で甘いあの人に。
秀人を亡くしてから、凍ったままの心が溶かされていくのがわかった。
どんどん光秀さんに惹かれていくことも……
それに抗えないことも……わかってた。
それでも、必死にブレーキをかけていたのは秀人のためだった……
だけど……、それが私の独りよがりだということを気づかせて、前を向かせたのは誰でもない
ーーーーーあの人だ。