第7章 虚心坦懐
そこまで言うと、私は光秀さんの瞳を見返した。
何もかも見抜いてしまいそうなその瞳に、光秀さんを信じているという思いだけを伝えたくて
「それでも私は……あなたが善人だったらいいと、思ってしまうんです。」
「……そうか」
光秀さんは静かな湖面を見つめ、低く潤った声を響かせた。
「悪人か善人か、竹を割るようにスパッと分けられるものでもないだろう。俺の本質が善か悪かは、お前自身の尺度で見極めろ」
(私自身の尺度……。それじゃあ……、光秀さんのこと…、信じてもいいってこと?)
光秀さんの言葉は、噂の答えにはなっていない。
だけど、はぐらかしたわけじゃなく、初めて聞く彼の本音だという気がした。
「ところで、お前は俺が本心を隠してるというが、そういうお前はどうなんだ?」
「え……?」