第7章 虚心坦懐
戸板を外し、佐助くんが鮮やかにバク宙を決めて畳に着地した。
「すごい……! 佐助くん、本当に忍者をやってるんだね」
あまりに華麗な身のこなしと、初めて見る佐助くんの忍者姿に思わず興奮する私。
「それほどでも」と、謙虚に言うと、佐助くんは口布を外して正座する。
「ご無沙汰してしまってすまない。元気だった?」
「うん。佐助くんも元気そうでよかった」
「もう気づいたかもしれないけど、実は、俺は……」
「……舞ちゃんから聞いた。佐助くんは、織田軍の敵側にいるんだよね」
「……ああ。この前、きちんと話せなくてごめん」
「気にしないで。敵地のど真ん中で白昼堂々明かせる話じゃないよね。それより、こんなところに来て大丈夫……? 安土城は佐助くんにとって敵の本拠地でしょう?」
「問題ない、敵地に忍び込んでこそ忍びだ」