貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第15章 好きだから
「良かったぁ。家康も元気になったし、これで、信玄様の元へ帰れるよ。」
「惚気かよ。」
にっこりと幸せそうに笑う乃々を見て、思わず吹き出した家康は、自分の心の変化に改めて気づかされた。
以前の自分ならば、他の男を思い浮かべて笑う乃々など見ていられなかった。
信玄の元へ乃々を送り出したあの時のように……
しかし、今ならそんな乃々の姿が微笑ましくもあり、心から幸せを祝福できる
そう思えるのは……そう思わせてくれたのはーーー
紛れもなく、烈の存在だ。
(今すぐあんたのそばに行かずにはいられない。
烈……、この先、また何かあったら必ず俺が、助けるから。
今度は、ちゃんと守るから。本音を伝えに行くから、待っていてーーー)
家康はここには居ない、烈への想いを噛みしめ、手のひらをぎゅっと握った。