貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第13章 独りよがり
軍議も終わり、御殿への帰り道。
今朝まで浮かれていた私の気持ちは、嘘のように沈んでいた。
少し前に戻ったように、家康さんの後ろを無言で歩く。
ずっと不思議だった。家康さんが、なぜ私を送り迎えしていたのか…。その答えが今日わかった。
(乃々さんのことがあったからだったんだ……)
乃々さんを拐われた時の、家康さんの心を思うと切なくなる。
(家康さんは、信玄様に大切な人を奪われたーー)
触れられた頬が、繋がれた指先が……近づいたと思った距離が再び離れてゆく。
一瞬でも自分のことを好いてくれているかも、そんなことを思ったことが恥ずかしい。