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君じゃないのに/財前裏

第2章 2#


「どうしたん?俺も手伝います?」

『な…んでそんなこと…』

恐怖で肩まで震えるの手を取り下半身へ忍ばせる。

「先輩こそなんでこんなことしたん?」

『っ…答えて…』

「…それ」

涙を堪え睨むと言われる。

「先輩のそういう顔が好きなんすよ」

『…優しい財前くんは嘘だったの…?』

「あんたこそ俺を選ぶ気持ちに嘘はないん?てそれを今確かめるんよな」

手を取られ無理矢理自身で秘部に触れさせられびくりとした。

「そんなすぐてわけにいきませんわな。集中して」

そう言われても無理だ。頭の整理が追いつかない。

『ン…!』

塞がれた口の中へ入り込む舌はいつも通りでそれもまた怖かった。

「緊張してる?いつもならここでどろどろのはず」

『…ごめん』

「ん?」

『…都合よく扱ってごめんなさい。財前くんに逃げようとしてごめん…』

財前の優しく笑う顔は嘘ではないと期待してしまった。自分を愛してくれる人を見つけられたのだと安堵してしまった。

「…そんな泣かんで」

この抱擁は優しさなのか何なのかさえも分からない。

『怒らせるつもりじゃないから…』

「…俺も怒ったつもりじゃないんです」

彼が何を言いたいのかがもうさっぱりだ。

「先輩が意外にも意地悪言うもんやから…ちょっといじめました」

『意地悪って…』

「俺が先輩の前で緊張して話せんの分かってて」

『…え?』

緊張?
冷たかったんじゃなく?

『ひ、あっ』

「まあそれはええんすわ。二度目の謙也さんの匂いはどうなん?」

この匂いは本当に好きだった。安心してドキドキするそんな匂いだった。

『…私は…』

自分から口付けた途端、財前の体が強ばった気がした。

『財前くんに…触って欲しい』

焼け付く胸の奥が痛い程燃え上がる。

「触るだけて…俺が無理」

柔らかくもないソファに二人して埋もれている。事後は確実に体が痛むだろうがそんなことは頭になかった。

『財前くん…無口だと思ってた…』

「あんまその話は…」

『今話してくれるのはなんで…?』

「まあ…ノリと勢いつか…そんなことええねん」

唇を塞がれた中赤い耳だけが見えた。

『照れてる…?』

「…!」

一瞬瞼が動くのが分かった途端睨み顔へと変わる。




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