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【短編】フルーツバスケット

第1章 小野 輝騎 WORST




「輝ちゃんっ!!」




屋上のドアが勢いよく開いた。振り返ると頬を膨らませた鈴音の姿。


鈴音は鳳仙トップの光政の女で、この学校の医務室のセンコー。



「どうした?また、喧嘩か?」



オレの近くのベンチにドンッと座って話し出した。


「今日ね、朝一緒に来る約束してたの!」

「…それで??」



オレは、いつからか鈴音の相談役にもなっていた。


「なのにね、いろんな女の子に囲まれてニヤニヤしてたのっ!頭きたからこのチョコあげない事にした」


「チョコ??そうか今日はバレンタインか?」


「そう、昨日頑張って作ったのに…」




鈴音は、年上のはずなのに年上にはまったく見れない…。

小さな事で怒る鈴音。


だが、今は悲しい顔をしている…。


すると次は、怒って小さな箱を出した。




「もういいや!全部食べてやるっ!」



おいおい、それじゃ…
光政が可愛そうじゃねぇか…





と内心思っていると…













「輝ちゃん、あぁ~~ん!」















そう言いながら箱から出したチョコをオレの口元の近くに持ってきた。


顔が熱くなるオレ…。


鈴音の視線が痛いほどで、オレは黙ってそのチョコを食べた。



「…おいしい?」

「あぁ…」



光政が惚れている訳がわかった気がした。



「んじゃ、一緒に食べよ?輝ちゃんも共犯ね!!」



「…」








少し罪悪があるがオレは鈴音と残りのチョコを食べた。



こんな甘い共犯なら、いつでもなろうと思ったのは言うまでもない…。




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