第11章 解放の時間
「・・・はっ!」
いつの間にか、自分の携帯が震えていた。
「電話か・・・えっ!?」
番号の下の名前は、和さんだった。
電話にでるのが怖い。
まだ、気持ち悪いくらいに
体に染み付いてる。
それでも尚、鳴り続ける携帯。
スライドさせて、少しためらってから
耳に当てて声を聞いた。
「も、もしもし」
『あ、二宮です』
「うん」
『・・・どうかしました?』
「え?」
『なんか、変な声』
「へんなこえ・・・」
『まあいいわ。んで、要件なんだけど』
「うん」
『明後日のこと』
それから、和さんが時間やら
場所やら教えてくれたりした。
何処に行こうか、
そんな素敵な会話なのに
私は「うん」としか言えなかった。
私のために考えてくれたのに
当方は何もできないで
また、電話から和さんの声がする。
ごめんね。和さん。
ダメな人間でごめんね。
でも、私、和さんが好きなのかな。
それなのに、私事で
和さんを振り回してるんだ。