第8章 泣かないで
私の隣にするりと入ってくる和さん。
「和さん」
「ん?」
「いいんですかね、こういうの」
「さん、意識しすぎ」
足は、感覚ないからわからないけど
肩と肩が触れたり
後ろにつく手が近かったり
こういうのを、意識してるっていうんだ。
和さんは、わかるのか。
「私、こんなの初めて」
「私だってそうですよ」
「星って、こんなに綺麗だったんだね」
「ですね」
背景が暗くなるとともに
星は光を増していく。
一つ見えるとどんどん見えてきて
私と和さんは
満天の星の下
「なんだか、涙が出てきちゃった」
「ふふっ。自由な人」
「自由好きなの」
「私もですよ」
他愛もない会話が
清んだ空気に消えていく。