第9章 BAD FEERING
病院へと向かうトラックの中は
息が詰まりそうなほど空気が重く
兄者はただただ運転に集中していた
助手席に座っているおついちは
先ほどから窓の外をぼーっと眺めている
「ねぇ?兄者」
外の景色に飽きたのか、それとも
この空気に耐えられなかったのかおついちが口を開いた
「なに?」
「さっきのちゃん。様子がおかしかったね」
「……そうだな」
「お父さんとお母さん助けられなくて……って」
二人の脳裏に浮かぶのは
うつろな目をして
謝罪の言葉を何度も発していた彼女の姿だった
「兄者。私、嫌な予感がするんだけど」
「あぁ、俺もだ」
「調べてみてもいい?」
「好きにしろ」
また、沈黙がトラックを包み込んだ