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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第25章 【夢であれば】


 ダンブルドアの口からシリウスの名前が出た瞬間、クリスはシリウスの家の壁に貼り付けられた家系図を思い出した。
 確かその中に――フィニアスという名のホグワーツの校長が居たと、シリウスが説明してくれた記憶がある。

「伝言を頼まれてくれぬか?アーサー負傷、妻とその子供と友人2名が間もなくそちらに到着する、と」

 フィニアスはダンブルドアの命を聞いて肖像画から姿を消すと、今度は入れ替わるようにディリスという銀色の巻き髪の魔女が額縁に戻って来た。

「酷い状態でしたよ、ダンブルドア。命があるのが不思議なくらい血を流して――当分聖マンゴ病院に入院することになるでしょう」
「あのっ――校長先生、どういうことですか!?パパに何があったんですか!?」

 ずっと黙っていたジニーが、思い切って口を開いた。全貌は分からずとも、会話から自分の父親の命が危ないという事は理解したらしい。
 フレッドとジョージも、不安そうな顔でダンブルドアを見つめている。ダンブルドアは子供たちを安心させるよう、少し口元を緩め微笑んだ。

「君たちの御父上が、先ほど騎士団の任務中に怪我を負ったのじゃ。だがハリーのお陰で発見が早く、すぐさま聖マンゴ病院に運ばれた」
「ハリーのお陰って……どういう事ですか?」
「――夢で見たんだ。パパが襲われるところを」

 手を組んで下を向いたまま、ロンがポツリと呟いた。それを聞いたフレッド、ジョージ、ジニーはにわかには信じられないという顔をしていたが、まさか嘘や冗談で真夜中に校長室に呼び出される訳がないという事だけは理解しているようだ。

「君達にはこれからシリウスの家に行ってもらう。病院へは『隠れ穴』より近いから便利じゃろう。御母上にはそちらで合流できるよう手配する」
「どうやって行くんですか?」
「直ぐにポートキーを用意する。荷物は後で運ぶから安心しておくれ」

 そう言うと、ダンブルドアは戸棚から、なにやら古い黒ずんだヤカンを取り出して「ポータス」と唱えた。ヤカンは一瞬奇妙な青い色になったと思ったら、すぐに元の古い黒ずんだヤカンに戻った。

「では皆、指先だけで良いからヤカンに触れるんじゃ。3つ数えて。1――2――3――……」
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