第22章 ロマンティック?
驚きの声を上げながら彼女は落胆する。
いや…ちょっと無理ですよ。いくら僕でも。
…たとえば台詞一つ取っても、「おまえは俺のもの」って。
おまえなんて人に言ったことないし、まあ叶さんになら言っても支障ないかなとは思うけど、言っちゃったら叶さんネチネチ文句言ってくるだろうし。
「じゃあ念の為聞きますけど…おまえとか言われたいですか?」
「冗談じゃない!何様!」
「ほらね。」
「……」
「……」
…あれ。叶さんなんで黙るんですか?空気読んでくださいよ。
「……(あ、なんか間が開いてしまった、どうしよ…)」
「……」
「……(宗次郎、私に気の利く台詞が出せるとお思いかね?)」
「……」
「……(食べ物の話でも振ろうか…)」
「叶…」
「?」
「叶、叶は……俺のもの、だから。」
「……!?!?」
呼び捨て!?いやそこじゃない!
俺!?宗次郎が俺!!?
しかも突然の占有宣言…!//
とにもかくにも私は突然のことに頭の中がぐるぐるしてきた。
「………すみません、今のなかったことに。」
「…お、おう…///」
「…」
ちょっと待って、心臓がバクバクいってる…
なに?今のインパクト…!//
た、ただのジャイアニズムのはずなのに…宗次郎のくせになんか赤面しながら言っちゃって…//
呼吸を整えている最中、ガタン…と隣から音がした。
振り向くと、立ち上がった宗次郎がこちらに向かって刀を振りかざしていた。
「…ちょ!ちょっと!何するつもり!?」
「叶さんの記憶から消去しとこうかと。」
「どんだけ恥じてんの!自分に自信を持ちなさいよ!」
「……」
「私の頭だから安心して!私のことだからそのうち忘れるって!」
自分で自分を貶める台詞まで言っちゃって、何これと思う中、宗次郎はニコニコと囁いた。
「忘れるんですか?僕の渾身が込められていたのにやすやすと忘れるんですか。」
「…面倒よね、宗次郎って。」
ロマンティック?
たまにはあげようか。