第6章 三角関係 ~陵vs長谷川~
『陵、やめて!!』
私は陵に後ろから押さえるように抱きついた。
『私が悪いのっ!!だから長谷川くんじゃなくて私を殴って!!』
必死に叫ぶ。
陵の動きが止まった。
『……っ』
陵は長谷川くんの上から降りて無言で図書室を出ていった。
『長谷川くん!大丈夫!?』
長谷川くんに駆け寄る。
『ヘーキヘーキ^^』
笑った口元からは血が出ていた。
『私のせいでごめんね…っ』
私はハンカチで長谷川くんの口元を押さえた。
『……理沙ちゃん。』
『?』
『陵くんのところに……行ってあげて。』
『え……』
『俺は大丈夫だから。』
『でも……』
『陵くんは君を待ってるんだよ。』
長谷川くんは痛々しいぐらい切なげに微笑んだ。
なんで?
どうして、自分のことより陵を優先するの?
こんなに殴られたのに…
『うん…わかった。』
小さく頷く。
私は勢いよく立ち上がり、長谷川くんのほうを振り向かずに図書室から走って出た。