第5章 Aiba.
「大丈夫だよ、大丈夫ー。
泣かないでよ」
まるで子どもをあやすみたいに、
相葉くんは頭を撫でる。
夢か現実か、境目がないみたいに
私の涙はどこでも流れ続けていて
苦しくてボロボロ涙が出る。
一昨年、私にとっては昨日のように
感じるあの出来事。
元彼が交通事故で亡くなった。
轢き逃げで、犯人は
しばらくして自首して来たが、
無惨にも血だらけの死体だけ残され
私は言葉も出ぬまま泣いた。
そこへ駆けつけたのが彼の友達、
もとい今の彼氏の相葉くん。
未だ付き合おうとの一言は言えていないけど
必然的に傍に居る感じだ
「……お酒、取ってこようかな」
立ち上がり、中へ入る直前
ポロリと聞こえた一言に
止まりかけてた涙が流れ始めた。
すべては私の未練から。
ずっとあなたを待たせてしまってるの。