第5章 Aiba.
着いたのは屋上。
青く晴れた空は
心地よい風を吹かしている。
「俺も好きだよ!」
と差し出された袋。
でもそれはくしゃくしゃで、
ラッピングも崩れていた。
「...く、れるの?」
何がなんだか分からない私に、
相葉くんはうなずく。
それはクッキーだった。
不器用さを表してるような、
形の崩れたクッキー
「....愛里、好きだよ。
遅くなってごめんね、」
ホワイトデー。
それはちょっとだけ、
意気地なしの彼に勇気を与えてくれる、
そんな特別な日。
(ずっと見てたって、)
(あ、うん。1年の時からかな)
(....相葉くんってそういう趣味...)
(違うよ!!好きなもの知りたくて、
追いかけてただけだって!)
(いつかストーカーになっちゃうよ。
...好きだけどね。)
(おっれもー!)
(...バカだ....)