第30章 貴方は私の半分
「乃々様、凄く…お綺麗です」
瞳を潤ませながら、口元に手をやる鈴
鈴の目の前には、純白の花嫁衣装に身を包んだ乃々の姿
白を基調とした衣装の中に緋色の召し物を着用し、その上に白い唐衣(からぎぬ)、裳(も)を着ていた
その白と緋色の対比がとても美しく、花嫁である乃々の美しさをさらに引き立てている
「そ、そうかな…?」
「はい…とっても…。」
乃々は世話係であった鈴を自分の側に置くことを謙信に許してもらい、躑躅ヶ崎に一緒に連れてきていた
鈴はこの時代に来て、初めて心を通わせた友人であり妹のような存在。
それと鈴の幸村への気持ちを知ってるからこその願いだった。