第23章 最後の戦い
「……お前を…どうこうしようとは…思っておらぬ…」
この人も…傷だらけなんだ……
大切な場所を人たちを奪われ…
帰るところをなくし…
彷徨っている…
少し前の信玄様と同じだ…苦しんでる……
顕如さんの心が悲鳴を上げて泣いているように感じて、私は顕如を見つめた
すると静まり返っていたはずの寺の外が騒がしくなり始め、怒号のような声や地を響くようなぶつかり合う音が聞こえる
「…もう良い…行け…」
怠そうにゆらりと近づき、私の手に食い込んだ縄を解くとぼそりと呟いた
その物騒な気配におそらく助けが来たんだろうと思ったが、自由になっても顕如から目を離すことが出来なかった
「け…顕如さん…。」
「………私の気が変わる前に行け。」
虚げにたたずむ顕如がまるで迷子の子供のように見え、置き去りにすることに躊躇する