第5章 あいつが出てこない!
「はぁ?どういうことだよ」
「だから、女中が持って行っても朝餉にも夕餉にも一切手をつけてないんだ」
「なんだよ、それ」
すると、信玄様が
「それはいけない。俺が部屋に行ってこよう…!」
と言った。
(襲う気満々じゃねーかよ!)
「信玄様が行ったら余計に悪化するだけだと思いますけど…!」
「じゃあ、誰が行くんだ?」
「くだらん」
そう言うと謙信様は、広間を出ていってしまった。
「佐助、行けよ」
しかし佐助は、
「もう何回か行ったけど反応が無い」
「じゃあ、誰が行くんだよ?」
……
佐助と信玄様がこっちを見てきた。
(えっ!?)
「いや、俺は行きませんよ!」
「なんでだ、幸?」
「だって、俺あいつと話したこと無いし…」
「俺が駄目で佐助も駄目となるとお前しかないだろ」
「いやそういう問題じゃ…」
「そんなこと言わずに」
俺は佐助と信玄様に無理矢理弥生の部屋の前まで連れて行かれた。
「じゃあ、よろしく」
「しっかり天女を連れ出すんだぞ」
(あー、もうめんどくせぇなぁ)