• テキストサイズ

イケメン戦国 《短編集》

第5章 「愛しさを伝えて」織田信長


「天下布武…成し遂げたんですね」

私は信長様を見上げながら、
やっとこの人の夢を叶えられたという嬉しさが湧き上がって、
瞳に涙を溜めながら、
「おめでとうございます…信長様」そう言った。

私は嬉しくて嬉しくて涙が止まらなくなった。
この人が掲げた大望は遂に成し遂げることができた。
たくさん辛い思いをしてきただろう。
たくさんの犠牲者を出てきただろう。

その罪も全てたった一人で背負ってきたこの人は、
私が初めて出会った時から冷えた瞳をしていて。
その目に暖かな光はなくて。

いつしか共にいるようになって、
この人のことを知れて、
信長様の温かさを知って、
本当は五百年後に帰るつもりだった。
だけど想いが通じ合って、
一緒に傍にいようと決めた日からひと月が経った。

「あぁ。舞、貴様のおかげだ。」
「え…?私は、何もしてないですよ…?」

抱き締められたまま、
信長様は優しく私の頬に手を添えてそう私に告げた。
私にはわからなかった。
ただ無事を祈ることしかできなかった私が、
信長様を支えることが出来ていたのだろうか?

「貴様がいたから、
俺は死のうとは思わなかった。
生きて帰ろうと初めて思えた」

信長様は目を細めて、
私の頬を撫でながら、
その声は柔らかくて優しくて、
だけど真意がはっきりとみえた。

「舞、貴様に会わなければ俺は、
ここまで希望を持って戦おうとは思わなかっただろう。
…待っている人が、
愛おしいと思う人がいるのはこんなにも心地よいものなのだな」

私の目尻に溜まっていた涙を優しく拭いながら、
信長様はそう言った。
私はこの人を良い方向へと連れていけたのだろうか。

この時代に来たばかりの頃は、
こんなにも優しい瞳はしていなかった。
それが今はとても優しい瞳をしている。
それが何よりもの証拠なのだろう

「舞、俺と出逢ってくれてありがとう。
これからは一生を掛けて幸せにする」

信長様の優しい瞳を真っ直ぐに見つめながら、
私は「はい。」と言うしか思い浮かばなかった。
──これからもずっと傍にいる。それが私の夢だ。


【the end】
/ 78ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp