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千分の一話噺

第414章 異業種参入


「マスク、マスク、マスク、マスク、マスク、マスク、マスク、マスク、マスク、マスク…!
あ~っ、ウザってぇ!
何でこのクソ暑い中、マスクなんてしてなきゃいけないんだ!」
あまりの暑さにぶち切れた彼氏に彼女からプレゼントが…。
「はい、これプレゼント」
「ん?何だこれ?」
渡された袋には『冷感マスク』と書かれていた。


彼女は彼氏のために朝から店に並び、話題の冷感マスクを買うつもりだった。
しかし、彼女はそのマスクを手にする事は出来なかった。
彼女が店を出て帰ろうとした時…。
「そこの貴女、マスクは買えなかった様ですね」
スーツを着た男に呼び止められた。
「…何ですか?」
彼女はスマホを取り出し警戒した。
「そんなに警戒しなくても、こんなに人がいるのに変な事しないですよ…
実は我が社の冷感マスクがあるんですが、お譲りしましょうか?」
男の言葉に彼女は訝しげな顔をした。
「あそこのカフェで話しませんか?
もちろん私の奢りで…」
男が誘ったカフェは今流行りのドリンクがある有名店だ。
「…あそこなら安心かな」
彼女は男の誘いに乗ってカフェに入った。
「改めて…、我が社でも冷感マスクを作ったのですが、今モニターを探しているんですよ」
男は名刺と『冷感マスク』と書かれた袋を出した。
「聞いた事ない会社ですね…
モニター?ですか?」
「不況による異業種参入ですから…
モニターと言っても簡単な感想を名刺のアドレスにメールしてくれれば良いだけです
では、宜しくお願いします」
男は頭を下げて帰って行った。


彼氏は早速封を開けマスクを取り出し装着した。
「普通のマスクみたいね…
本当に冷感なの?」
彼女はちょっと不安だった。
「おっ、なんかひんやりする…」
そう言った彼氏は、直後に倒れ亡くなった。


「直後に死んだか…
やっぱり、まだ市販は無理だな
せめて二日はもってくれないと魂を回収出来ない…」
スーツの男の影には背中から翼が…。

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