第346章 雨乞い
運動会の前夜、私はある人形に願いを込めた。
「明日、雨にして!」
そう、私は運動が苦手で運動会は大嫌いなのだ。
だから、毎年このキノコの人形にお願いしている。
何故キノコなのか?
「だってキノコってじめじめした所に生えるでしょ
雨も好きなんじゃないかなぁ~って…」
効果はあったり無かったり。
当たるも八卦、当たらぬも八卦。
占いみたいなものだ。
そんなものより、天気予報を見た方が確実だと思うが、最近の天気予報は精度が高く現実を突き付けられるのも事実だ。
だったら希望的なお願いをしている方が気が楽かも知れない。
しかし、そんな願いを託されるキノコの人形はたまったもんじゃない。
晴れれば八つ当たりされ、雨でも別に何かされる訳もなく本人はウキウキと学校に出かける。
『ざけんじゃねぇぞ!ごらぁ!』
誰もいない部屋で叫んでいた。
end