• テキストサイズ

千分の一話噺

第33章 危ないデート


「ねぇ明日の夏祭り一緒に行かない?」
「えっ俺?…あぁ良いよ…」
俺は正直戸惑っている。
誘ってきたのはクラスでも一、二を争う人気者のレイナだ。
「じゃあ明日、駅前に集合ね」
彼女はそう言って友達の元に駆けていった。

翌日、駅前に行くと彼女が一人で待っている。
「あれ?他の連中はまだか?」
俺は周りを見回して聞くと、彼女は首を横に振った。
「今日は私一人よ、二人っきりじゃダメかな?」
そう言って上目遣いで首を傾げる姿が可愛すぎる。
「あっいや…そうか…
じゃあ行こうか」
(これってデート…だよな)
俺はどぎまぎするだけで彼女をまともに見れなかった。

祭りの会場は露店がたくさん並び凄い人混みだ。
「あっち行こ」
かき氷を買って、会場の脇を流れる河原に移動した。
川面を渡る風がひんやりと気持ち良い。
川辺に座ってかき氷を食べる。
「なぁ、なんで俺を誘ったんだ?」
男女共に人気があるレイナが、あまり人と関わらない俺を選んだ事が不思議だった。
「ウフッ、前から気になってたんだ…
君は私と同じじゃないかって…」
「同じ?俺と君が?」
かき氷を食べながら彼女が妖しく微笑んだ。

月明かりが雲で陰ると彼女の瞳が赤く輝きだす。
「貴方、私と同じ魔族でしょ」
その刹那、後ろで露店が炎上し祭り会場は阿鼻叫喚に包まれた。



end
/ 1580ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp