• テキストサイズ

千分の一話噺

第267章 ゆるキャラ


この宇宙港にはたくさんの宇宙船が出入りしている。
その中にはアンドロメダ銀河にまで行く長距離豪華客船もあった。


俺達はテラスの手摺りにもたれて港を眺めていた。
「珍しいな、あんな豪華客船が来るなんて…」
「アンドロメダ銀河のどこかの王女様が乗ってるんだよ」
「…その王女様ってのはあれか?」
視線の先には何人もお供を連れた女性が下船している。
きらびやかなドレスにたくさんの宝石を身につけて。

「まさかと思うが…」
「はい、今回のお仕事!」
「マジかよ…」
「だからここに来たんだ」
俺達の狙いは王女様のお宝、アンドロメダ銀河でしか採取出来ない稀少な宝石が使われているティアラだ。
もちろん警備は厳重、蟻の這い入る隙間もないくらいだ。
「あんなのどうやって突破すんだよ」
「なあに、王女様からこっちに来てもらえば良いのさ」
「はぁ?それこそどうやって!?」
俺達は一旦その場を離れた。

「で、どうするんだ?」
「あの王女はゆるキャラに目がないんだって
見たこともないゆるキャラを見れば猪突猛進だよ」
「ゆるキャラって…
そんなもんで…」

俺達は着ぐるみを被り、港のロビーで待機する。
「本当にこんなんで来るのかよ」
「まぁ見てなって」
港に王女一行が戻って来た。
俺達がおどけてみせると、近くにいた子供達が騒ぎ出した。
それに王女が気付くと、護衛を振り払い、正に猪突猛進でこっちに向かって来る。
「△∈≦●※∩∨∇!」
「おい、なんて言ってるんだ?」
「アンドロメダ語なんて知らないよ
それより今がチャンスなんじゃない?」
確かに王女は俺達(ゆるキャラ)に夢中で、護衛の連中は子供達に遮られて近寄れない。
わざとしゃがんで王女の頭を下げさせる。
隠し持っていた偽物とすり替えるなんて容易いことだ。
「◎∪∀#◆!」
なんて言ってるか分からないが、王女は笑顔で乗船して帰って行った。

「気分良く帰れたんだ、これくらい安いもんだよな」
「後数時間もしたら星間戦争になるかもね」
「…かもな」


end
/ 1598ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp