第3章 一大プロジェクト
「社長っ!待ってください!」
俺は食い下がったが、社長は耳を貸さずに退席した。
社運を掛けたプロジェクトが暗礁に乗り上げた。
このままこのプロジェクトがポシャったら会社の存続すら危うくなる。
大事なプロジェクト会議に一技術者でしかない俺の意見は通らなかった。
他の技術者や上司からも懐疑的な言葉しか出てこない。
結局、プロジェクト会議は何も対策案が出ずに終わった。
会議が終わると、担当常務が声を掛けてきた。
「さっきの話、本当に大丈夫なんだろうな?」
「はい!専門家にも確認出来ています」
常務は少し考えてから答えた。
「俺が社長に話を通してやる
ただし失敗するなよ」
失敗すれば、間違いなくクビが飛ぶ。
上手くいったとしても、手柄は常務のものか…。
それでも会社が無くなれば無職だ。
やるしかない。
火中の栗を拾うようなものだな…。
end