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千分の一話噺

第22章 漆黒の薔薇


「黒い薔薇を探してきて…」

黒猫を抱いた女は俺に妙な頼み事をした。
「黒薔薇?ブラックバカラって奴か?」
「違うわ、漆黒の薔薇よ
ブラックバカラは黒に近い赤だから駄目…」
聞いた事のない薔薇だ。
「漆黒の…?そんな薔薇があるのか?」
「あるわよ、トルコに…」
「トルコだと?」
俺は余りに意外だった答えに戸惑った。
「そう、トルコの一部地域にしか咲かない幻の黒薔薇が欲しいの」
「随分と簡単に言ってくれるな
その黒薔薇で何をする気だ?」
この女が何をするかは、大体分かっている。
「うふふっ、その黒薔薇と私のこの黒猫が揃えば…」
そう言って抱いている黒猫の頭を撫でた。
「怖い女だな
また黒魔術か?」
「貴方は私が欲しい物を揃えてくれれば良いのよ」
女は否定をしなかった。
「報酬は?」
「相手の魂と私の寿命二年でどう?」
いつもと同じだが、少しサービスしてやるか。
「魂だけで良い…
寿命はサービスしてやる
しかし、変わった女だ
俺に直接頼めば済むものを…」
女はサービスの事など気にも掛けなかった。
「あなたが手を出しては、私の想いは叶わないわ
私の手で世の中から悪を葬ると言う想いが…」



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