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千分の一話噺

第201章  勘違い


私は走った…。
野を駆け、山を越え、谷を渡り、(もちろん気分的にですが…)ひたすらに走った。
『走れメロス』も真っ青になるくらい(飽くまで気分的にです)走り続けた。

そしてやっとの思いでたどり着いた君の家。
呼び鈴を押そうとする指が震えてる。
(怒ってるかな?…怒ってるよね…どうしよう…)
私は呼び鈴を押せず、手を引っ込めてしまった。


五月五日は君の誕生日…。
別に忘れてた訳じゃないのよ。
こうしてプレゼントも買ってあるし…。
でも、ほら、ゴールデンウイーク中って夜中に面白いテレビ番組や映画とかやってるでしょ…。
つい、夢中になって見てたら夜明け間近で…。
それにほら、夜はテレビ見ながらお酒呑むでしょ…だから…朝起きれなくて…。
(あーっ、やっぱり言い訳にしかならない…
約束の時間に八時間も遅れるなんて有り得ないし、何回も携帯に着信が来てるし、メールで超心配されてるし…
どうしよう…
フラれちゃう?フラれちゃうよね…)
「そんなのヤダー!」

その時、君の家のドアが開いた。
「騒がしいと思ったら、もう来たのか?
ん?…何で泣いてる?」
「えっ?…だって…約束の時間…八時だったでしょ…」
「やっぱりか…八時は夜の八時だ、まだ四時間もある」
「でも…でも、着信やメールが…」
「着信はお前が『起きれないかも知れないから鳴らして』って言ってただろ…
メールは起きれたか心配だったんだよ」


全ては私の勘違いだった。
あれ?でも確か今日は遊園地に行くって…。



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